短編集

著 : 会津 遊一

そんな奴は知らん! ガチャ!


 夜中にドアが叩かれ、寝ていた俺は起こされた。


 が。


 外に出ても人影は無い。


 訝しみつつドアを閉めたら、またやられた。


 それが数回も続く。


 流石に頭にきた俺は、掴まえるべく待機した。


 そして、また叩かれた瞬間にドアを開くと、


「ギャ!」


 そう叫び声がした筈だが、人影は無かった。


 部屋に戻ると、お袋から電話が来た。


「夜中に何」


「それが泥酔してた父さんの顔に痣ができて、お前の名前を言っては謝ってるんだよ。何か知らない?」



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